今回のテーマは、マッサージの刺激の強さ についてお話ししていきたいと思います。
来院される方の中には、強い刺激のマッサージを好まれる方 がいらっしゃいます。
しかし、
「その場ではスッキリするけれど、すぐに元に戻る」
「なかなか楽にならない…」
と感じて、当院にいらっしゃる方も少なくありません。
確かに、強い刺激を受けた後は痛みを感じにくくなる ことがあります。
しかし、その反動として 体に大きな負担をかけてしまう ことをご存じない方が多いのも事実です。
そこで今回は、
- なぜ強い刺激はよくないのか?
- どのくらいの刺激が適切なのか?
について解説していきます。
「マッサージ」という言葉について
「マッサージ」という言葉は、本来 按摩マッサージ指圧師の国家資格 を持つ方のみが使用できるものです。
私自身は資格を持っていないため、普段は「徒手療法」や「ほぐし」といった言葉を使っています。
ただ、今回は分かりやすく伝えるために「マッサージ」という言葉を使わせていただきます。
強い刺激はなぜ逆効果なのか?
先ほど 「強い刺激のマッサージは体に大きな負担をかける」 と述べましたが、
その理由は、過度な刺激が逆効果になりやすい からです。
マッサージは本来、筋肉の緊張をほぐし、血流を促進し、リラックスや疲労回復を助ける ものです。
しかし、強すぎる刺激 には以下のようなデメリットがあります。
① 筋肉の防御反応が働き、逆に緊張してしまう
強い刺激を受けると、筋肉や神経が「攻撃されている」と認識し、防御反応を起こします。その結果、
・さらに筋肉がこわばり、硬くなる
・リラックスするどころか、緊張が強まる
という悪循環が生じます。
② 筋肉や神経を傷つけるリスクがある
強い圧力が加わると、
・筋肉や血管、神経を傷つける可能性がある
・揉み返し(筋肉痛のような症状)が起こり、痛みが長引く
といった問題が発生しやすくなります。
③ 自律神経のバランスが乱れる
肩こりや腰痛などの慢性症状には、ストレスや精神的な緊張も大きく関与しています。
強い刺激を受けると、脳が「攻撃を受けている」と認識し、交感神経が活性化します。その結果、
・リラックスしにくくなる
・ストレスホルモン(コルチゾール)が分泌され、さらに緊張が増す
といった悪影響を及ぼします。
「痛みが強い場合はどうする?」
痛みが強いとき、一時的に和らげるために強い刺激を与えることもあります。
ただし、これは例外的なケース であり、頻繁に行うべきではありません。
基本的には、「八分目」くらいの圧をかけるのがベスト です。
副交感神経と交感神経のバランスを整えることで、体が自然に回復できる環境を作る ことが大切です。
なぜ「八分目の刺激」がちょうどいいのか?
適度な刺激(強すぎず、弱すぎず)が適切な理由は、
筋肉が防御反応を起こさずに自然に緩む からです。
① 血流がスムーズに促進される
強すぎる刺激ではなく、心地よい刺激を与えることで、
・筋肉が自然に緩む
・血流が促進される
という 本来のマッサージの効果 を得ることができます。
② 自律神経が整い、リラックスできる
交感神経が高まっている状態で強い刺激を受けると、さらに交感神経が活性化し、
・体が緊張状態から抜け出せなくなる
・イライラしやすくなる
といった 精神的なストレス も増えてしまいます。
一方、適度な刺激は副交感神経を優位にし、
・リラックスしやすくなる
・ストレスが軽減される
という 心身への良い影響 をもたらします。
優しい刺激は、筋肉の自己回復能力を高める
「マイクロカレント(微弱電流)」という電気治療をご存じでしょうか?
この治療法は、電気刺激をほとんど感じないほどの微弱な電流を流すことで、自然治癒能力を高める ものです。
マッサージも同じで、強い刺激で無理にほぐそうとせず、優しく刺激を与えた方が、筋肉が自ら回復する力を引き出すことができます。
施術者の理解不足が「強すぎる刺激」につながることも
強い刺激で体を治そうとする施術者の中には、体の仕組みを十分に理解していない人 もいます。
医師や柔道整復師などの専門家は、「体を治すのは本人の自然治癒能力であり、施術者はその回復を助ける存在である」 ということを理解しています。
・痛みが続くのは、自然治癒能力が十分に働いていない状態
・施術者の役割は、自然治癒能力を発揮しやすい環境を整えること
そのため、一時的な鎮痛効果よりも、しっかりと回復できる施術を行うことが大切 なのです。
自分の体と向き合うことが大切
「いつも強い刺激のマッサージを受けている…」という方は、ぜひ 「自分の体を痛めつけていないか?」 と見直してみてください。
強い刺激で無理に痛みを抑え込もうとせず、「体が頑張りすぎているんだな」と理解し、優しい刺激で体を癒す ことを意識する
大切な体を守るためにも、無理な刺激ではなく、回復しやすい環境を整えることを意識しましょう!
くれぐれも 自分の体を痛めつけないようにしてくださいね!
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