膝関節の変形を招く主な原因は、もともとの体質に加え、加齢や運動不足による、膝関節の衰え、肥満や長時間の立ち仕事などによる膝への負荷になります。
膝関節は、太ももから上の体重を支えているので、日常生活動作を行うだけでも、膝関節には強い衝撃が加わります。
そうした膝への強い負担を和らげるために、膝関節には関節軟骨と半月板があり、クッションの役割を担っています。
関節軟骨は骨の関節面を覆っており、半月板は膝の内側と外側にあります。
どちらの軟骨も水分をたっぷり含んでいて、コラーゲン(たんぱく質の一種)が束のようになってできており、柔軟性に富んでいます。こうした関節軟骨と半月板のクッション機能のおかげで、膝にかかる強い衝撃を適度に分散してくれています。
ところが、関節軟骨や半月板は、加齢とともに弾力性が失われて硬くなり、すり減ったり、細かい傷ができたりします。そこに強い負荷がかかると軟骨のすり減りが進み、膝関節が変形してしまいます。
さらに、運動不足も、膝関節の変形に大きくかかわっています。膝関節は、太ももの大腿四頭筋をはじめとする筋肉や靭帯などによって支えられています。そうした筋肉・靭帯が加齢や運動不足で衰えると、大きな負荷がかかって、膝関節が変形しやすくなります。
膝関節が変形すると、なぜ痛みがでる?
変形性膝関節症による膝の痛みの原因は、膝関節を覆う関節部の内側の炎症で起こります。
よく、軟骨がすり減って、骨と骨とが、ぶつかって痛みが出ると聞かれたことがあると思いますが、膝の関節が動かしにくくなることはありますが、痛みが起こることはありません。
痛みが起こる原因は、膝関節に負担がかかることによって、関節軟骨や半月板がすり減ったり傷付いたりして、小さな摩耗粉が関節内に浮遊し、膝関節にある滑膜を刺激します。すると、滑膜は、摩耗粉を異物と判断し、滑膜の細胞から「炎症性サイトカイン」という物質を分泌し、痛みが発生します。
ちなみに、滑膜に炎症が起こると、膝関節内で潤滑油の役割を担う関節液が過剰に分泌することがあり、水がたまったという関節水腫という状態になります。
膝関節に痛みが起こった場合も、水がたまった場合も、どちらも滑膜の炎症を鎮めなければ根本的に解消しないということです。
また、変形性膝関節症は、突発的に起こるのではなく、長い年月をかけて関節軟骨や半月板が損耗し、ゆっくりと進行します。
変形性膝関節症の進行を抑える2つのポイント
ポイント1
変形性膝関節症の原因で最も多いのが、運動不足による足腰の筋力低下であるため、まずは、積極的に体を動かすことが大切です。日頃から、積極的に歩くことを心がけ、さらには足を上げて歩くなどの意識して歩くようにしましょう!
ポイント2
体重による膝関節への負担は大きいため、肥満を防ぐことも大切です。
何気なく歩いているときでも、膝関節には、体重の約3倍の負担が膝関節にかかっています。さらに階段の上り下りでは約7倍、前かがみ姿勢や重い荷物の持ち運びが加われば約10倍の負担になります。
つまり、体重が1kg増えるだけで、先程の動作に対して、それぞれ3kg・7kg・10kg負担が増えるようになります。膝関節への負担を減らすために肥満対策も行っていきましょう。
変形性膝関節症を改善させるために
膝関節の変形がほとんどない場合は、滑膜の炎症が鎮まって自然に治る場合が多くあります。
しかし、軟骨の摩耗によって再び炎症が起こると痛みが現れます。変形性関節症による膝の痛みは、くり返し起こる慢性痛で、変形した膝関節が、もとの状態に戻ることはありません。
なので、炎症・変形を起こさせないように予防を行うことが重要になります。
予防として大切なのが、運動療法です。プロによるリハビリケアと、自分でのセルフケアを行うことで、改善及び予防となります。
毎日の運動習慣と、定期的な治療院への通院、そして、食事等による生活習慣の改善による体重のコントロールを行っていきましょう。
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