最近はトレーニング=プロテインという考え方が定着してきていますね!
多くの方は、トレーニング後はプロテインを摂るのが良い!と思われていると思います。多くの健康雑誌、スポーツ雑誌や、トレーニングジムでもプロテインを飲むことを推奨しています。
さらに、昔は、プロテインといえば、めちゃくちゃまずい・・・どちらかというと、ボディービルダーの人など、一部の人が、飲んでいましたが、最近は、味も、かなり改良され、かなり美味しくなっています。そうなると置き換えダイエットや、糖質制限ダイエットで、プロテインを飲む方も増えてきて、今では、プロテインバーとかゼリーなど、幅広いバリエーションで、手軽にプロテインを摂取できるようになっています。
今後ますます、プロテインというものは、進化を遂げていき、食事として取るという人も、かなり増えてくるのではないかと思います。
タンパク質を摂取することはとても重要で、健康な体を維持するためにはとても大切なことです。プロテインを飲むだけで、タンパク質がバランスよく摂取することができるので効率がいいし、さらに筋力低下も抑えられると思うかたも多いと思います。
しかし、その考えは、かえって体に重大な負担をかけてしまう可能性があります。
1日に必要なタンパク質は?
国が定めているタンパク質の1日の推奨摂取量をご存知ですか?
男性の場合は、60グラム、女性は50グラムと言われています。
そして、推奨摂取量は推定平均必要量よりも10グラムほど多く設定されています。
普通に生活している人が必要とするタンパク質は、皆さんが思っている以上に少ないのです。
では、60グラムのタンパク質を取ろうと思ったら、どれくらいのものを食べるといいと思いますか?
朝食 ごはん100g(2.5g)、みそ汁(3g)、目玉焼き7g ・・・約12.5g
昼食 すき家の牛丼1杯(22.9g)・・・22.9g
夕食 さんまの塩焼き一匹(20g)、ごはん100g(2.5g)、野菜炒め(肉あり)(8.1g)・・・30.6g
合計66g
他にも、納豆は12.4g、紅鮭は15.8g取ることができます。
普通に生活をしていても、割とタンパク質は摂取していることがわかります。そして、あえてタンパク質の多い食事を行うと、わざわざ補充してまで飲む必要があるのか??という感じですね。
「運動したらタンパク質」は必要ないかも
オートファジーという言葉を聞いたことがありますか?
ギリシャ語のファジー(食べる)にオート(自ら)が組み合わされた造語ですが、オートファジーとは、細胞内部の古くなった悪玉タンパク質を、再利用して新しくタンパク質を作り替えられるメカニズムのことを指します。
肉や魚や豆腐などを食べて消化していく過程で、タンパク質はすべて「アミノ酸」という物質に変わります。
このアミノ酸は、私たちの体にあるタンパク質の材料となります。
私たちの体のタンパク質は、絶えずつくりかえられており、その材料となるわけです。
そにれに加えて、先ほどのオートファジー機能により、筋肉も含め体のタンパク質は絶えずつくりかえられています。
ちなみに、どのくらいつくりかえられているかというと、1日にだいたい400グラムのタンパク質が壊され、400グラムが新しくつくられています。
だから、運動をしたからといって、タンパク質の補給をすぐにとる必要はないといえます。
アミノ酸は、体内でストックされている
タンパク質は、いろいろな場面で使われています。
先ほどの、タンパク質を作り替えるのにも、タンパク質が分解されたアミノ酸を利用します。
そして、常に同じ食事をするわけではないので日によっては、タンパク質があまり摂取できない日もあると思います。
そうなると、「やはり毎日ちゃんとした量を取るためにも、プロテインを飲んで、タンパク質を補給した方がいいんじゃないの?」と思う人もいると思います。
ところが、そんな心配もいりません。
なぜなら、私たちの体には、「アミノ酸プール」という画期的なシステムがあります。
アミノ酸プールとは、アミノ酸を大量にストックしておくシステムで、体の細胞の中や、血液の中などに貯蔵されています。
現代では、食べ物は、簡単に手に入る時代で、食べたいと思えば、食べれる時代ですが、昔はそうではありません。狩をすることで、お肉などのタンパク源を得ることができます。
つねに、タンパク質を補給しないと、体は大変なことになるのか?というと、そんなことはないと思います。
数日、ろくな食べ物を食べなかったとしても、体に悪影響を及ぼすようなこと、命を落とすようなことはないですよね?
私たちの体は、様々な状況でも耐えられるようにできています。
過剰なアミノ酸は要注意
体にあるアミノ酸はどのような使われ方をするかご存知ですか?
1つは、タンパク質を合成するために使われ、さらにブドウ糖や脂肪を合成するのにも使われます。
そして、もう一つ、過剰に摂取して余ったものは、尿素窒素などに変えて尿から排泄されます。
毎日、タンパク質を大量にとったとしても、余分はものは、尿によって排泄されてしまうのです。
ここで注意しておかなくてはならないのが、腎臓です。
腎臓は、生体内の状態を一定に保つ役割を持っています。
体に不要なものは、腎臓の濾過により、排泄されるのですが、あまりにも過剰過ぎると、腎臓も無理して働かなくてはならないため、腎臓は疲弊し、機能が落ちてしまいます。
すると、過剰濾過による腎機能障害を引き起こしてしまいます。
タンパク質の取りすぎは、腎臓を悪くする
タンパク質を摂りすぎると、過剰濾過が生じて腎臓を悪くするというのは、1982年に発表された有名な腎臓病医のブレンナー教授の論文で確立されています。
当院でも以前、「腎臓を労ろう」というタイトルで、栄養過多、リンの取りすぎは慢性腎臓病になりやすいというお話をしましたが、タンパク質もそうです。
栄養の過剰摂取は、腎臓に負担をかけてしまい、結果、腎臓病を引き起こしてしまいます。
しかも、アミノ酸プールの仕組みによって不足することもないので、わざわざプロテインで大量に摂取する必要があるのかどうかという疑問が生まれます。
プロテインで過剰に摂取してしまい、かえって腎臓を悪くする可能性が高くなります。
とはいっても、タンパク質は重要な栄養素なので、必要量はきちんと取る必要はあります。
だからといって、プロテインを取るのではなく、肉や魚や大豆を食べることをお勧めします。
運動時にタンパク質の補給は本当に必要?
こんな言葉を聞いたことないですか?
「運動をしてブドウ糖が消費されると、エネルギーが足りなくなって筋肉が使われてしまうから、タンパク質の補充が必要だ」
私もある研究が出るまでは、完全に信じていました。
しかも、ジムなどでもプロテインがすぐに飲めるように設備を整えたり、栄養士の人も推奨しています。
プロテイン摂取が有効かどうかは、様々なところで議論がおこっています。
しかし、この議論は、すでに決着がついているそうです。
1994年にイギリスのダンディー大学の研究者が研究報告を行っており、そこで明らかに否定しているのです。
その実験では、男女26人のボディビルダーに対し、体重1キロあたり1.93グラムの高タンパク食を毎日摂ってもらいました。
インストラクターの方や、栄養士の方がいうようにタンパク質をしっかりとって、筋トレもしっかり行っているので、かなりの効果が得られる!!と思っていたのですが、結果は、筋肉にはなんの良い効果も出なかったそうです。
また、イェール大学で行われた実験で、5カ月間にわたり、アスリートに1日のタンパク質を55グラムに制限させたときには、エネルギーも枯渇して、筋肉から栄養が取られるので、筋肉は落ちていくだろうと思いましたが、なんと!筋力は逆に35%も増加したそうです。
このような結果を見れば、「運動するときにはタンパク質の補給が必要だ」という話は、本当なのか?と疑う必要があります
ブドウ糖→脂肪→筋肉
体内のブドウ糖がエネルギーとして消費されてしまうと、次に使われるのは筋肉ではなく脂肪です。
脂肪は、一般的な体格の人で、1カ月くらいはエネルギー不足にならないくらいの脂肪を、私たちの体に溜め込んでいます。
これら脂肪を消費し切ったとき、最後にやむを得ず、筋肉のタンパク質がエネルギーとして使われます。
なぜ最後かといったら、筋肉をつくっているタンパク質が簡単に不足してしまっては大変だからです。そんなことにならないよう、私たちの体は完璧に設計されているのです。
そして、タンパク質までエネルギーにしなければならないようなことは、現在の状況から考えると起こりにくいです。
さらに、スポーツクラブで運動したくらいで、そのような状況がおこることはありません。
とはいっても、まったく筋肉も動かさずにだらだら過ごしていると、筋肉も無くなってきます。
プロテインは飲まなくてもいいので、運動はおこなうようにしましょう!
まとめ
①筋トレをしたら必ずタンパク質を摂取しないといけないということはない
②タンパク質を摂取したからといって筋肉がつく、または、運動のパフォーマンスがあがるということはない
③タンパク質を摂りすぎることで腎臓を悪くする可能性がある
といったことが、言えます。
健康のために、運動をしても、人工的に作られているプロテインを、大量に摂取してしまうと、腎臓への負担がかかり、健康を逆に害する可能性があります。
プロテインに限らず、人工的に作られたものは、体には優しくないので、なにごとも程々が一番ですね!
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